<南風>若者の力で地域を元気に


社会
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 人口減少、地方創生、人生100年。大学は今や、地域活性化の拠点という役割も担うことになった。大学と企業との製品開発という従来の活動だけではない。若者を主役にした地域と大学との活動が、全国で大きな広がりを見せている。

 名桜大学と琉大が進める「未来(ミライ)叶い(カナイ)プロジェクト(COC+)」もその一つ。沖縄での雇用創出や地域活性化を担う人材の育成、若者の定着が狙いだ。複数の自治体と協定を結び、農産品を活用した新商品開発、英語観光ガイド養成など、各自治体に合わせて活動している。例えば、宮古島市の「小さな拠点づくり」活動と学生チームとの2年にわたる取り組みがある。学生の新鮮な視点や柔軟な発想を地域活性化に役立ててもらおうというものだ。これらの協働を通して、自分の可能性や職業進路をみつけたり、ビジネスヒントを得たりする学生も。地域にとっては、地元の魅力を若者目線で再発見できる機会になっている。

 小中学校でも、「学ぶ・働く・生きる」を意識させて理解を深めるキャリア教育が当たり前になった。働くことを考える契機にと職場体験学習が広がっていて、家族の会話が増える、職業観が育つ、感謝の気持ちが芽生える、という効果があるという。お茶の間で子どもと一緒に働くことについて気軽に話すのも、立派なキャリア教育という話も聞く。

 来月入学する若者たちは、職場体験学習を経験しているはず。瑞々(みずみず)しい感性を持つ彼らに大学が用意できるものは何だろう。地域を元気にするため、学生が地域と一緒に課題の発見に知恵を絞り、解決に汗を流す。「地域で活動するって人を知ることなんですね」という学生の言葉が忘れられない。指導する教員らも手応えを感じている。自治体職員や地元住民、企業人との協働と交流の中で、学生は確実に成長している。
(新田早苗、琉球大学総合企画戦略部長)