<南風>私の心は24時間循環風呂


社会
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 「お前の心は24時間循環風呂か!」とはラジオ沖縄の小磯誠アナウンサーの名言です。はい、私のことです。

 小磯アナウンサーと朝の生放送を担当している時の話で、ふとした瞬間の気づきに「私、今日から心を入れ替えます!」とよく言っていたから。「うまいですね!」と感心したら「ポイントそこじゃないから」と言われた思い出。30代半ばの話だが、その頃は何か成長せねばという焦りが強くあったように思う。

 朝令暮改という言葉を知ったのもその頃。あるプロジェクトに関わっていたのだが、方針が二転三転し全く進まない。困り果てて責任者に確認したところ「そんなの君、チョウレイボカイだよ」と言われた。意味がわからずにポカンとしている私に、良いことはすぐに取り入れて改めることと説明した。つまり改善しているのだから文句を言わずに指示通りに動けということだ。なんだかモヤモヤしたが、その時は引き下がるしかなかった。

 ちなみに朝令暮改とは、定めた後から次々と法令が改められ、よりどころとならないことを言います。意味を知れば当時の責任者の言葉はトンデモ発言だが、改めて考えてみると朝令暮改拡大解釈も役に立たないとも言い切れない。人間、年を重ねると自分の考えを改めることが難しいから。

 経験を重ね、信念を貫くことは素晴らしいが、あまりにもこだわりすぎると人の意見に耳を傾けず、独りよがりになってしまう。自分の考えを改めるということは、自分より優れた他者の考えを受け入れることで、これがなかなか難しい。柔軟性と素直さは意識しないと保てない。世の中の変化も驚くほど早い。それくらいの気持ちでいた方がいいのかもしれない。

 さて。新年度が迫っていますね。前年度を反省し、心を入れ替え、フレッシュに行こうと思います。
(諸見里杉子、ナレーター・朗読者)