<南風>思い出レシピ


社会
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 Cafeでもあるゆかるひ(那覇市久茂地3丁目)のメニューは、私がこれまで体験してきた思い出のレシピを中心に組み立てました。

 (1)おやき

 長野のリンゴ農家に嫁ぎ、まず姑(しゅうとめ)から教えられたのが、おやきでした。長野県民にとっては、野沢菜と並んで愛されているおふくろの味の代表です。

 中力粉をこねてねかせて、季節の野菜を味付けした具を中に入れ、蒸したり焼いたり揚げたりします。我が家は蒸しおやきでした。

 夏は丸茄子(なす)のおやき。信州特産のまん丸い茄子を輪切りにして、中に甘味噌(みそ)を挟んだもので、お盆には必ずこのおやきを作りました。

 冬限定の野沢菜のカブのおやきは、土の上に出ている巨大な葉は、漬物にしますが、土の下はカブになっていて冬の短期間しか食べられないおやきです。

 このように、一年中、旬の野菜をおやきとして食べていました。25年長野で暮らすうちに、私のおやき作りは、姑に一番美味(おい)しいと言ってもらえるようになりました。ゆかるひでは、島野菜を具にしたおやきをお出ししています。

 (2)花巻

 これは中国の北京で食べた思い出の食べ物で、蒸しパンです。22歳の時に中国に赴任する日本大使館員の家族とともに北京に渡り、2年4カ月過ごしましたが、中国人のコックさんが作ってくれた花巻が忘れられずメニューに入れました。ゆかるひでは、紅芋粉で紅白にしたオリジナル商品です。

 (3)沖縄ぜんざい

 私が住む久茂地に「富士冷菓」という美味しいぜんざい屋がありました。普通のぜんざいとは全然違うシャリシャリした、甘さも程よい逸品でした。その味を思い出して再生を試みましたが、とても無理でした。試行錯誤の結果の味はいかに? どうぞお試しあれ!
(屋嘉道子、ブックカフェ&ホール「ゆかるひ」店主)