<南風>ブルーシートとカンパ


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 ハッピーモア市場(宜野湾市志真志)は農業用ビニールハウスを利用した建物です。夏は暑く、冬は寒い環境で営業しています。雨の日にはビニールハウスの隙間から雨漏りもするので、今でも所々にバケツを置いています。「ここは濡れないわよ」なんて言い合うお客様の声もよく聞こえてきます。

 ある年、史上最大級の台風が沖縄を直撃しました。家は停電、断水するぐらいの大きな台風でしたから、ビニールハウスはひとたまりもありません。なんと屋根のビニールが半分吹っ飛んでしまったのです。

 農業用のビニールハウスは特殊で高額です。すぐには費用を出しきれず、一時的に青いビニールシートで対策をしました。あまりにも修繕に時間がかかり過ぎていたので、お客様も心配だったのでしょう。あるお客様から「ハッピーモア市場がなくなったら困ります。みんなで修繕のカンパをしたいので募金箱を置いてください」と、提案がありました。

 正直、「えぇ!お客さんが普通こんなことおっしゃる!?」と思いました。建物の修繕は当然お店側がやることで、お客様にお金を出してもらうものではありません。それなのに、ありがたいことに、お客様自身からカンパしたいと申し出てくださいました。「ハッピーモア市場にはこんなに支えてくれるファンがいてくれるんだ。このお店を続けていけるように頑張ろう」と強く思いました。

 あれから長い日数がかかりましたが、自力でビニールを修繕し、建物を復活できました。今は台風対策として、屋根の上に太陽光パネルを設置しています。これも応援してくださるお客様のおかげです。

 まだまだツッコミどころ満載のハッピーモア市場ですが、暑さに負けず、寒さに負けず、台風にも負けず頑張ってまいります。
(多和田敬子、ハッピーモア市場取締役)