<南風>部活動ってなんだろな


社会
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 昨年、母校の校舎が一部建て替えられ、引っ越しが行われた。運動場側に新校舎を建て、現在の校舎部分が運動場になる予定だが、工事中に不発弾が出たり、遺跡が出たりでかなり時間がかかった。しかし、まだ発掘調査中で、完成にはあと数年かかるそうだ。取り壊される前にと旧校舎の写真を撮影させてもらった。3年間、毎日通った放送室。機材や先輩から受け継いだたくさんの資料ももうない。部員が入るときゅうきゅうだった部室もガラーンとして寂しく感じた。

 10年ほど前から高校放送コンテストの審査に関わっている。私が放送部出身で、放送関係の仕事に携わっていることから、恩師より後輩のために尽くせとのミッションだ。自身も通った道を違う角度から見る機会でもある。その中で部活動とは何かと改めて考えた。

 学校の部活動は教育活動の一環として、子供の心身の成長を促すもの。文科省の文教施策にもそうある。目標の設定、チームワーク、努力の仕方を部活動を通して学ぶということだ。決して大会で上位入賞が目的ではない。プロ活動を見据えた養成所ではないのだから。だが、それが目的になってしまうことも少なくない。やるからには成果をという気持ちもわかる。

 賞を得るよりも、部活動の目的、自身の目的と目標を確認したり、練習の必要性や方法を考える時間は重要だ。結果を分析し、次の計画を立てることが習慣化すれば学習にも活(い)きるに違いない。もちろん取り組みの成果として賞を得られれば大きな喜びだが、入賞できなくとも価値がある。長い人生に向けた成長の芽となるのだから。

 私は幸いにも良き先生、仲間に恵まれ、充実した部活動だったが、16の時にここからスタートできれば違う3年間があっただろう。子供達にとって良き時間になることを願う。
(諸見里杉子、ナレーター・朗読者)