<南風>キャンパスはナニモノ!?


社会
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 新学期のランチ時、学食は学生たちで大賑(にぎ)わい。旺盛な食欲と若さに圧倒されつつも、明るい気分になる。でも、学食でのランチは夏休みまでお預け。

 琉大は1950年に首里城址で開学し、その後84年に現在の西原に移転した。琉大60周年記念誌には、進学希望者の増加と沖縄の人々の経済的負担を考慮し、大きなキャンパスが必須になったこと、それを受けて宜野湾市、中城村、西原町の広大な接点地域への移転となったことなどが記されている。移転の後押しとなったのは、若者の希望や人々の大学への期待、それに応えようとする大学関係者の熱意だったと琉大OBの方々から聞く。移転当初は「ハブ注意・夜間歩行厳禁」の看板が至る所にあったらしい。そして今。校舎や施設が整然と立ち並ぶ、自然豊かなキャンパスになった。

 琉大には博物館(風樹館)がある。北口の農学部に隣接していて、様々な動植物の標本展示などがある。イリオモテヤマネコの剝製は、モナリザ級の目玉だ。一方で、キャンパスや周辺には様々な遺跡がある。開学の鐘や首里の杜、糸蒲ノロの墓や御嶽、茶畑や田芋の発祥地などのスポットが、附属図書館の史跡・遺跡マップに紹介されている。改めて見ると、キャンパス自体が、自然と歴史文化の博物館のようだ。こんもりと生い茂る木々、千原池や青く広がるキャンパスの大きさ、亜熱帯の動植物。本学を来訪する人々は一様に驚く。「まるでジュラシックパーク!」と手放しで喜んでくれた県外の私大教員の顔を思い出す。

 過去を内に秘め、日々美しい姿を見せながら、教育研究の活動の場となって、多くの価値を未来に繋(つな)げていく。見慣れたはずのキャンパス、一体何者?と訊(たず)ねてみたくなる。教職員や学生だけでなく、ぜひ近隣の方々にも親しんでいただければと思う。
(新田早苗、琉球大学総合企画戦略部長)