<南風>てぃんさぐの花=憲法12条


社会
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 沖縄県民の愛唱歌に「てぃんさぐの花」があります。その中に[宝玉やてぃん磨かにば錆(さ)びす 朝夕(あさゆ)チムみがち浮世(うちゆ)渡ら]という歌詞があります。

 私が那覇市久茂地で「ゆかるひ」を始める前、長野を中心に37回「沖縄を感じる会」というのをやっていました。

 ヤマトの人々があまりにも沖縄のことを知らないので、沖縄は美しい空と海ばかりでなく、独自の歴史や多様性の豊かさや、今まさに何が起こっているのかを知っていただきたくて、紙芝居や手作り地図や食べ物や歌などを紹介し、五感を通して沖縄を感じてもらうための会でした。

 富山でその会を開いていた時のこと、「てぃんさぐの花」を歌い、歌の意味を説明しました。すると前述の[宝玉やてぃん…]の歌を「憲法12条ですね」と会場からの声。

 憲法第12条は〈この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用(らんよう)してはならないのであって、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ〉です。

 この条文がコインの片面としてコインの表は憲法第13条〈すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする〉です。つまり最大の尊重を必要とする私達の幸福追求の権利は、私達自身のたゆまぬ努力によって支えられる、ということです。

 それは憲法そのものが変質しないよう国民自身が常に監視しなければならないということですね。

 [宝玉やてぃん磨かにば錆びす]はまさに憲法第12条と響きあうものです。

 宝玉である憲法をいつも心にとどめ皆で磨きあいたいものだと思います。
(屋嘉道子、ブックカフェ&ホール「ゆかるひ」店主)