<南風>イベントが無くても


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 宮古島ミュージックコンベンションというイベントを毎年、開催している。今年で14回目。本気で遊ぶために始めたので、全く収益はなく、これからもビジネスにする予定はない。純粋に、音楽のお祭りがやりたいのだ。

 毎年、5月最終週末の空梅雨を狙って開催していた。観光客が少ないシーズンに来島者を呼ぶからこそ意味がある。今年からは10月最終週末に季節を変える。台風を心配する声も聞こえるが、宮古島では6月に別の音楽イベントがあり、どちらかが秋に開催した方がいいのだから、我々が変更することにした。

 14回目にもなると、いずれ私が死んだらこのイベントはどうなるかを考えるようになってきた。多分、イベントは無くなることだろう。どう残したらいいか。

 一番望んでいるのは「私が死んで、イベントが無くなっても音楽が常に溢(あふ)れる宮古島」であってほしいという想(おも)い。イベントを残すには?ではなく、イベントが無くても問題ない、と思えるようになることが最終目標なのだ。そう思えたら、すべてが怖くなくなった。

 とは言っても、毎年5月最終週末にイベントを開催していたので、長年の習慣として来島するリピーターもいらっしゃる。なので、5月25、26日の夜に、サキシマ・ライブハウスサーキットという、宮古島市街地のライブハウスが行き来自由のイベントを開催する。

 25日は初めて石垣島のライブハウスでも同時開催する。有名ミュージシャンも地元のミュージシャンも入り乱れ、一晩中音楽漬けになるイベントである。

 石垣島、宮古島の観光の楽しみ方のモデルスタイルとして試みるが、これが日常的になってほしい。

 死を想い、イベントが無くなるのが夢…という目標を見つけ、それ故に新たなイベントを企画するのだから、とても愉快だ。
(江川ゲンタ、宮古島大使 打楽器奏者)