<南風>ゴルフを通して心を知る


社会
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 連休前に「やりたいことリスト」を作成するのは毎年恒例。到底できそうもないリストを作成し、後でガッカリ感を味わうのだが、今年はちょっと達成感がある。やりたいことの一つはゴルフをすることだった。

 小さなボールを手よりも長いクラブで打って、何ヤードも先のホールに入れる。

 とてつもなく難しいという印象が先行し、私には一生縁のないスポーツだと思っていた。良縁あって初めて挑戦した時も、いい印象は持てなかった。思っていたよりもクラブは重いし、空振りするたびに疲れが増した。気持ちよく打っている人びとを眺めてばかり。

 しかし、教えてもらったポイントを意識して打った時とそうでない時のボールの飛び方と打音の違いや、集中できている時とそうでない時の明白なスコアの違いなどが実感できてくると面白くなってきた。できなかったことが少しずつできるようになっていく過程で、どんどんゴルフが好きになっていった。

 2日連続でミニコースを回った。2日目のスコアは1日目より20ほど良かった。練習の成果が表れてきた喜びもあったが、それ以上に、自分の「生き方」の癖がプレーに表れたことに驚いた。1打目でミスをすると2打目以降も引きずってしまう。出だしでつまずくと修正に時間がかかるということである。そして、きちんと準備をすればうまくいくということ。これは日常生活でも起きていることだと気づき、ゴルフというスポーツの奥深さの一端を知った。

 人はいつか必ずつまずく。そこからどう立ち上がるか、どうリカバリーできるかが大事で、その力を心理学では「レジリエンス」という。私はこの力に注目し、真摯(しんし)にゴルフを学んでいきたい。ゴルフはメンタル要素の強いスポーツだと言われるが、心の柔軟さを養うために最適な「生涯スポーツ」ではないかと思う。
(吉川麻衣子、沖縄大学准教授 臨床心理士)