<南風>必死、迷走、転機


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 手作りでコツコツ作り上げたハッピーモア市場(宜野湾市志真志)。立ち上げる前に銀行や同業者の方々から「今から野菜屋を始めるのは、やめたほうがいいですよ」と反対されていました。

 開店当初は野菜だけではなくレンタルブースとして店内一部に雑貨を置いていました。コンセプトが全く定まっておらず「何屋なの?」「おもしろい店だね」などと笑われていました。あの頃は必死でしたが、正直、迷走していました。今では笑い話です。

 商売は甘くはなく5年間は赤字続きでした。がんばっても先が見えす、途方にくれる日もありました。当時は子供2人の大学進学と重なり、かなりの資金を必要としていたのです。「がんばって諦めなければ必ず報われる」「神様に試されているんだ、乗り越えられない試練は与えない」と夫と励まし合っていました。

 6年目にしてやっと一つの転機を迎えました。中小企業を支援する「経営革新計画」が沖縄県から承認されたのです。承認後は、県の補助を受け県主催のイベントへ積極的に参加しました。さらに沖縄食材の店にも登録し、外への周知活動に力を入れました。藁(わら)にもすがる思いで小さなチャンスも見逃しませんでした。

 CMなどで一生懸命宣伝した結果、少しずつ雑誌やラジオ、テレビの取材が来るようになりました。その甲斐(かい)あって、今では順調に売り上げや客数も上がり、認知度も出てきました。

 最近の一番うれしいことが、10年目にしてやっと駐車場の舗装ができたことです。今までご迷惑をかけていた砂利道からアスファルトになったのです。道路舗装には莫大(ばくだい)なお金がかかります。10年目にしてやっと、道路に費用を回せるようなめどが付き、舗装に踏み切ることができました。

 これも私たちにチャンスを与え、サポートしてくださった皆様のおかげです。
(多和田敬子、ハッピーモア市場取締役)