<南風>琉大にご期待あれ


社会
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 大学、琉大の今を伝えたいと綴(つづ)ったこの連載。高齢の母の楽しみが一つ増え、親孝行という点でもありがたかった。でも今回で最後と思うと、ついにんまり。

 いつ大学改革は終わる?とあるセミナーで、高等教育の専門家が溜息(ためいき)まじりにそう漏らした。改革必須の議論は戦後ずっと続いている。高等教育の将来像を問い、今の改革に繋(つな)がる流れも既に10年余り。大学教育は1980年代以降、一挙にグローバルな課題になった。どの国のどの大学を選択するかが、人生設計にも色濃く影響するようになった。若者がこぞって留学を目指す話は、中国や韓国、台湾のドラマではもはや定番。

 地方創生を背景に、大学は地域の若者定着、雇用創出と産業振興、地域の生涯学習や交流拠点づくりなどの重責も担うことになった。人材育成の公器(大学)への宿題は、雨後の竹の子のようでキリがない。それでも大学は結構頑張っていて、一大学の枠を超え、企業ともタッグを組んで活動している。沖縄産学官協働人財育成円卓会議の海外留学支援、大学コンソーシアム沖縄学生ボランティアセンターの子ども貧困支援などが好例で、メディアにもよく紹介されている。

 かたや琉大。アジア・太平洋地域の教育研究拠点と地域とともに豊かな未来社会をデザインする大学を、100周年(2050年)までの長期ビジョンに据えて、地域に頼られ、愛される大学づくりに取り組んでいる。自治体や企業と連携した観光・IT・物流・医療・農業・エネルギーなどの課題解決や専門人材育成、小中高を通じた科学人材育成、離島遠隔教育の実証実験、ご厚志の寄付による留学支援やシングルマザー支援など、琉大ならではの活動がますます盛んに。皆さま、ご期待あれ。

 私の暮らしを支え、育ててくれた琉大に感謝しつつ、一緒に夢を追いたいと思う。
(新田早苗、琉球大学総合企画戦略部長)