<南風>すべてに感謝


社会
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 2018年の新たな挑戦と覚悟を決めて取り組んだ全13回のコラムは今回が最終回となる。私にできるのかと不安でいっぱいだったが、執筆することで、これまでの自分を振り返り、多くの学びをいただいた。

 学生時代はごく平凡な人間。リーダー役や人前で話をするなんてことは全く無縁であった。運動音痴が宮古島トライアスロンや100キロマラソンを完走したり、大勢の前で講演したり、組織のまとめ役になったり。かつての私を知っている友人たちには全く想像できなかっただろう。自分でも信じられない。ましてや文章を書くことが得意でもないのに新聞のコラムを連載するなんて。

 人は生きていると、いろいろなことに巡りあう。私には無理だ、もう駄目だと思うことにもしばしば遭遇する。しかし不思議なもので、それらが機会となって自分では思ってみなかった何かが引き出される。知らない自分の可能性に気づき、苦手なことができるようになる。

 「南風」執筆の挑戦も私にとって特別なドラマだった。何を書いてよいのか、行き詰まった時は天の助けがあった。機内でお客さまが手帳から私のコラムの切り抜きを取り出され、「読んでいるよ」と声をかけてくださった。恥ずかしいやら嬉(うれ)しいやらで赤面した。原稿のネタになればと、心温まるエピソードを寄せてくれた後輩たちやお客さまが出演者となり、いつの間にかゴールに到達できた。自分ひとりの力では完走できなかった。ドラマを盛り上げてくださった方々に感謝の気持ちでいっぱいである。

 これからも自分の困難と可能性を楽しんで生きていきたい。紙上でお付き合いいただいた皆さま、次回はJTAの機上でお目にかかれることを楽しみにしております。エンディングはJTA名物の機内アナウンス島くとぅばで。ぐすうよう、いっぺーにふぇーでびる。
(亀川智子、JALJTAセールス法人G長 JTA客室乗務員)