<南風>学校をつくろう!


社会
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 珊瑚舎スコーレはNPO立の「学校」です。世間からはフリースクールと呼ばれています。でも好きな時に登校し自分の好きなことだけをするというフリーではありません。毎日授業があり、行事などの年間日程も決まっています。また不登校の子どもが通う所でしょとも言われます。不登校の生徒もいれば、珊瑚舎の教育に惹(ひ)かれて入学する生徒もいます。教室内を見たら、どの生徒が不登校だったか否かの区別はつかないと思います。安心して気持ちよく学べる場所であれば、生徒は自分が持っている本来のエネルギーを発揮するからでしょう。

 人は「自分を創る」生き物です。その手助けをするのが学校です。学校の中心は授業です。あらかじめ用意された知識や技術を身につけることを目標にした授業ではなく、生徒・教材・教員の三者の交流から生まれる力を育むことを目標とした授業がそれを可能にします。この考えは夜間中学校も同様です。

 昨年「人間の営み」という授業で、初・中・高等部を横断するカリキュラムを作りました。自由・自立・平和を考えるために様々なテーマを学びます。今年度のテーマは学校・地域・ジェンダーなどです。物の見方の基盤となる価値や思想の萌芽(ほうが)を育み、自分自身や社会の諸々の現象や状況に内実と輪郭を与えられる思考と想像力を培います。そのために必要な知識の習得も欠かせません。

 ある卒業生は「ここでの3年間は自分を旅する時間だった」と語っています。自分の中にあった可能性を発見し、問いをつくる力を育てたのでしょう。

 生徒一人一人が「思索と表現と交流」の場として授業、学校をつくっていく。その手助けをすることが学校の役割だと考えています。そのために、私たちはいつも呼びかけています。「授業をつくろう!学校をつくろう!自分をつくろう!」
(遠藤知子、珊瑚舎スコーレスタッフ)