<南風>書くことから学ぶ


社会
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 私は国語の教科に対して強い苦手意識がありました。作文についても例に漏れず苦手でした。あまり本を読まなかったのが大きな要因だろうと自分なりに分析しています。新聞に至っては読むのはスポーツ欄かテレビ欄でした。ですから新聞投稿について、憧れはありましたが遠い存在だったのです。

 そんな私に転機が訪れたのが40歳になった頃、養護学校での修学旅行中の出来事が忘れられず、ふと書いてみたのが新聞投稿の始まりです。

 大平養護学校(当時)高等部生徒の一つのグループを私が担当し、その生徒たちの要望を聞いて東京の原宿で「自由行動」を行った時のことです。原宿へ向かう電車の中でダウン症の女生徒が車中に入って来た老女にサッと席を譲ったのです。障害のある生徒の優しい行動に、一瞬、電車内に緊張が走ったことを記しました。その初投稿が初掲載された時、飛び上がるほどうれしかったのを鮮明に覚えています。

 以来、私の習慣に変化が生じました。掲載されたうれしさから題材を求めて本や新聞をよく読むようになったり、物事をよく観察するようになったのです。

 読んだ方から多くの励ましの言葉を頂き、投稿の楽しさを知ることとなったのです。相乗効果もあり、地道に新聞投稿を積み重ねた結果、掲載数も80回を超えるようになりました。

 今回このコラムの依頼を聞いた時、大変うれしく光栄に思いました。そこで、これまでの教職員としての経験を振り返り、伊平屋島、宮古島、石垣島での離島生活やカナダ、ベトナムでの海外生活等を踏まえ、地域の文化の違い。長期間携わって来た特別支援教育およびインクルーシブ教育について。ライフワークの一つでもある大好きなスポーツに関することなどをつづって行きたいと思います。
(西永浩士、名護特別支援学校長、県特別支援学校体育連盟会長)