<南風>最後の監督ミーティング


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 第100回全国高等学校野球選手権記念沖縄大会も佳境に入った。特に今年は記念大会だけに頂点を目指してどの学校も必死の思いで挑んでいることだろう。

 高校野球の感動は、負けられない夏の戦いのために、努力を続けてきた仲間と全身全霊を懸けてプレーすることだ。負ければ即引退である。

 応援も同様だ。グラウンドの選手と一緒に戦っている。腹の底から大声出す練習を何度も繰り返す。リズムあるステップと息の合ったダンス、声援が一体となって仲間を鼓舞する。声をからして必死に応援している彼らを見ていると、メンバーからはずれて悔しい思いをした子もいるんだろうなと目頭が熱くなる。彼らにも心の中で「ナイスプレー」とエールを送る。

 「夏の甲子園予選」と一言でいうが、その日のために選手のみならず、家族も大変な努力や苦労を重ねてきた。あらゆる壁を乗り越えてこの日を迎えることができる。

 選手たちは、小学生の頃から毎日練習に明け暮れてきた。その精神的支えとなるのはただひとつ、夏の大会で頂点に立ち甲子園出場という夢があるからだ。そんな頑張ってきた選手たちでも栄冠を勝ち取れるのはただ一校のみだ。

 勝ち残れなかった学校は「ラストミーティング」で監督の声を聞き、「甲子園の夢」が消えた悔しさと、3年生は引退で明日から練習に来なくていいという現実に泣き崩れる。

 自分の選手時代のことを思い出しながら、ラストミーティングの光景は今も変わらない。

 選手よりも父母が諦めきれず、いつまでも立ち直れずにいる。私もその一人だった。夢は叶(かな)えられなかったにしても仲間と過ごした時間と努力はこれからの人生に役に立つ。そう信じて、新しい夢に向かって頑張ってほしいものです。

(砂川正美、夢サポーター)