<南風>公民館が取り組む防災


社会
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 福井県敦賀市のホテルで朝食をとっていると、そこにいる全員の携帯が一斉に鳴り出した。大雨による土砂災害警戒と避難準備を促す緊急速報だ。その晩、そして翌朝も緊急速報が届く。甚大な被害をもたらした西日本豪雨。そのタイミングで福井県公民館連合会のセミナーに講師として参加していた。本来であれば1泊2日、丸二日間の研修だったが、電車の不通、高速道路の閉鎖があり、参加者の帰宅が困難になることが予想されたことなどを理由に2日目は中止になった。

 翌日にはどうしても那覇に帰らなければならない用事があるのだが、電車運行再開のめどは立っていない。滋賀県の米原駅から大阪行きの新幹線が動いているという情報を得て、事務局に車で送っていただくことになった。通常2時間弱の道のりが7時間もかかり米原駅に到着。35分で着くはずの新幹線も3時間かかった。大変ではあったがおかげで無事予定通りの飛行機に乗ることができた。

 帰ってから実家に行くと、一人暮らしの母から、台風で壊れた樋(とい)を直してくれと頼まれた。壊れた樋に気づいたお向かいのご主人が応急処置をしてくれたということだったが、見てみるとすでにキレイに直されていた。向かいが直してくれたようだ。このようなご近所付き合いがあることがうれしく、頼もしく感じた。

 災害時における「共助」の重要性は指摘される通りだが、災害はいつ起こるかわからない。若狭公民館エリアを見てみると日本語の通じない外国人観光客も多い。歓楽街を有しているため、昼と夜の人口構成も異なる。夜間保育園が多いのも特徴だ。いざという時、つながりがあるコミュティーの中にいるとは限らない。となると平時から「自助」の意識を高めることが重要となる。公民館が取り組む防災について、あらためて考えるきっかけとなった。
(宮城潤、那覇市若狭公民館館長)