<南風>手術痕は最高の勲章


社会
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 私の背中には、背骨に沿って30センチほどの大きな手術の跡があります。19歳の時、側わん症という背骨が曲がる病気の手術を受けました。

 中学2年生で発症した私はバレーボールをやめたくないと手術を拒否し続け、背骨の湾曲が進行しないようにと胴体に固い装具を着けての生活を送りました。それでも症状は進み、バランスの悪い体でバレーボールを続けているうちに、歪(ゆが)んだ体の痛みで眠れない日が続くようになりました。

 「もうこんな生活を変えたい」。その思いだけで手術を受けることを決めました。しかし、同時にその選択はとてもきついリハビリ生活を送るということでもありました。

 長時間の手術を終え、麻酔が覚めた時、全身の激痛に襲われました。何度も看護師を呼び、痛み止めの薬を入れてもらう生活でした。何度も「手術なんて受けなければよかった」と思いました。しかし、手術から何日か経過し、看護師の介助で入浴をした時、私は鏡に映る自分の体を見て感動しました。そして病室に戻り、母にいいました。

 「お母さん、私の体にくびれができている」。それまで右側だけ肋骨が飛び出ている私の体には、ウエストに左右対称のくびれはなく、左右の肩の高さも違っていました。それが、手術で右側にも同じようにくびれができたのです。どんな激痛にも耐えられるくらい嬉(うれ)しかった。ずっと醜い体がコンプレックスで、恥ずかしくて、人前で目立つことなんて絶対にしなかった私が、手術を受けたことで希望を持ち、今ミス・スプラナショナル日本代表としての日々を過ごしています。

 病気になって、たくさん悩み苦しみ、涙を流しましたが、手術を受けたことで私の人生は変わりました。

 私は今幸せです。背中の傷痕は、側わん症の苦しみを乗り越えた私の「最高の勲章」だと思っています。
(仲本百合香、ミス・スプラナショナル2018日本代表)