<南風>地域で感動共有体験


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 若狭公民館のすぐ側にある若狭海浜公園を会場に、夏の期間だけ月1回開催している「うみそら上映会in若狭」。今年で2年目を迎えた。この上映会は、一人の青年の声から始まった。

 今から約30年前。青年が幼少の頃、夏になるとどこからともなく怪しげなおじさんがやってきて、近所の公園で流行のアニメなどの野外上映会が行われていたそう。そのときのワクワクする感覚を今の子どもたちにも味わってもらいたい。父親となった彼はそう思うようになったそうだ。

 彼の思いを聞きながら実現したときのことを想像するとこちらもワクワクしてきた。すぐにうみそら公園管理事務所に相談し、実現に向けて動き始めた。青年を中心に実行委員会を立ち上げ、ボランティアを募り、手作りで上映会の企画運営を行うことにした。

 昔行われていた野外上映会は著作権等を無視した違法のものだったと思われるが、私たちが実施するものはそうであってはならない。

 沖縄フィルムオフィス、那覇市視聴覚ライブラリー、シネマ沖縄の協力を得て、沖縄を舞台とした短編映画、16ミリフィルムのアニメーション、家庭用8ミリフィルムをデジタル化した懐かしの地域映像を提供していただくことになった。

 先月開催した今年最初の上映会で「天妃小第1回運動会」(1966年)を上映した際は、異様な盛り上がりを見せた。その運動会に参加していた当時の小学生たちが集い同級生たちと語らうプチ同窓会のようになっている。食い入るように見、歓声を上げ喜んでいた。

 地域の中で共に創り上げる、感動を共有する体験ができるのは素晴らしいと改めて感じている。この上映会を体験した子どもたちの将来にも何かしら影響があるかもしれない。そう思うとさらに毎月の上映会が楽しみになってくる。

(宮城潤、那覇市若狭公民館館長)