<南風>「エネミー」と付き合う


社会
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 私の胸の中には「エネミーちゃん」と名付けたモンスターが住んでいます。エネミーとは英語で「敵」という意味。大好物なのはネガティブ、眠気、怒り。私が日常生活でそれらに遭遇したときに、ひょこっと心の裏から顔を出し、不安をかき混ぜながら踊り出します。その振動で心が揺れ出すと私は焦燥感を感じ、動けなくなってしまい、泣き出しそうな気持ちになります。

 東京で1人暮らしを始めてエネミーちゃんの声がよく聞こえるようになりました。「今日はランニングやめとけば」「締め切りに間に合わなかったらもう仕事来ないかも」「あなたに存在価値はあるの」。ふと目覚めた真夜中に話しかけてくるので少々厄介な同居人です。

 もしや、皆さんの胸の中にもエネミーちゃんが住んでいるのでは。なかなか切れない腐れ縁です。時にはエネミーちゃんの誘惑やネガティブに負けてしまうこともありますよね。「仕事や学校を休んでしまった」「やると決めたのに達成できなかった」

 しかし、そこで罪悪感や劣等感を感じるということは、日々戦っている証拠。自分を責めすぎて潰(つぶ)れてはいけません。最近気づいたのですが、エネミーちゃん「笑顔・明るい音楽・朝の光」が苦手なようです。

 気分が乗らない時は、好きなテレビを見たり、ライブに行ったり、友達や家族と話したり、おいしいものを食べたりして思いっきり笑いましょう。世の中の頑張り屋さんは「休む」=「サボっている」と感じてしまうかもしれませんが。

 これも仕事だと思って休もう。音楽は余計なエネミーちゃんの声を消し去るし、前向きなリズムや歌詞で心を充電することができます。朝日は体や頭をリセットするポジティブシャワー。エネミーちゃんとうまく付き合っていくにはまだまだ研究が必要ですがうまく付き合っていきたい。
(Anly、シンガーソングライター)