<南風>豊かな自然とビール


社会
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 琉球新報本社で7月に開かれた「オリオンビアスクエア」に行ってみた。玄関前のスペースだけでなく、ロビーの奥までお客さんであふれていた。みなさんいい笑顔。私も、非日常空間で大好きなオリオンの生ビールを味わえ、大満足だった。

 私が子どもの頃、ビールといえば「断然オリオンビール」だった。当時ヨット柄だったオリオンの缶ビールを片手に、大人たちがニコニコしているのを見ると、私もなんだか楽しい気分になったものだ。

 だが、いつの頃からか、沖縄の小売店でも多種多様なビールや発泡酒が並び始め、オリオンビールが圧倒的な存在ではなくなった。オリオン生を飲める飲食店もグッと減ってしまったように感じる。とても残念だ。

 オリオンビール好きの友人や知人と、オリオン生が飲める店を探して苦労することがある。食べ物やサービスが良くても、「オリオン生が無い」ということは、私たちにとって大問題だ。たまたま入ったお店で、「オリオン生、ウニゲーサビラ!」と頼み、お店の人に「オリオンの生ビールは置いていません」と言われた時の落胆は深い。「オリオン生が飲みたいなー」と食い下がる先輩もいる。

 最近、別の先輩から「昔は、冗談半分でオリオンビールを『名護の泡の出る水』とか『名護の麦茶』と呼んでいた」と聞いた。ウチナーンチュに親しまれてきたことがうかがえる。同時に、名護の名水から生まれたビールということが伝わってくる。豊かな山や海があってこそ、私たちはおいしいものを頂けるのだと改めて思った。

 オリオンビールは海外進出が目覚ましいと聞く。ウチナーンチュに愛されているということも、オリオンビールの魅力の一つだと思う。オリオンファンのため、沖縄のもっと多くの店で、オリオン生ビールが飲めるようにしてほしい。
(照屋みどり、しまんちゅスクール代表)