<南風>楽しく学ぶ防災イベント


社会
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 今年は台風が頻発し、各地で大雨、浸水、土砂崩れなどの被害をもたらしている。また、大阪北部地震や熊本地震など死傷者を出した震災も記憶に新しい。

 7年前の東日本大震災とそれに伴う原発事故の際は、連日ニュースで流れる被害の様子を見ながら、価値観や人生観が大きく揺さぶられ、被災地のために何かできないかと考え行動した人も多かったはずだ。

 「沖縄には地震がない」と思われがちだが、地震発生率は全国よりも高く、30年以内に震度6以上の地震が発生する確率は、那覇市で20%ということである。いつ発生するかはわからないが、いつかは起こる。

 若狭公民館では、度々防災講座を開催してきた。防災の基礎知識や自主防災組織の作り方、関係機関を交えた図上訓練など。しかし、参加するのは近隣自治会長や民生委員など地域のリーダーばかりだった。

 より多くの人に関心を持ってもらおうと試行錯誤するなかで出会ったのが「イザ!カエルキャラバン!」というおもちゃの交換会と防災体験プログラムを掛け合わせたイベントだ。阪神淡路大震災の被災者インタビューをもとに、震災で得た教訓や知恵を次世代に伝えるために開発された。

 沖縄で実施したいと考えたが資機材の運搬費など結構な予算が必要となる。助成金を活用しても一回きりで終わっては意味がない。そこで、主催者に沖縄版の開発を申し出ると面白がってくれ、全面的に協力いただくことができた。多くのボランティアの力を借りて『リッカ!ヤールーキャラバン!』が生まれた。

 今年は防災の日の1週間後、9月8日に那覇市津波避難ビルで開催する。楽しく学べる体験プログラムに加え、炊き出し訓練や震災復興への取り組み映像上映、情報誌の閲覧などがある。防災・減災について考える機会としたい。
(宮城潤、那覇市若狭公民館館長)