<南風>応援の力


社会
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 どのスポーツにもある、「ホーム」と「アウェー」。ホームは地元、アウェーは敵地を意味している。

 最近でこそホーム試合が多いが、デビュー当時は連戦でアウェーが続いた。アウェーで試合をするには、飛行機での移動がともない、減量でナーバスになっている身体にも負担がある。会場には自分を応援する者ははほとんどいない。

 デビューから8戦目までアウェーが続いた私は、ホーム試合の経験がないため、そんなものだと思っていた。逆に、誰も知らないことでリラックスしていたぐらいだ。

 しかし、3年前にMUGEN挑シリーズがスタートし、私の主戦場はホーム(沖縄)になった。

 そこで強烈に感じたこと。「ホームの声援がこんなにも自分にパワーを与えてくれるのか」ということだ。もちろん、ホーム試合はパワーとともに緊張感やプレッシャーも増す。自分の試合を応援してくれているみんなの期待に応えたい、勝って恩返ししたい、という気持ちが高まり、自然と気持ちが引き締まる。

 メンタルトレーニングの先生に、「選手は応援してくれる人が多ければ多いほど強くなる」と言われたことがある。四角いリングの中で戦うのは自分ひとり。でも、リングに立つまでに関わってくれた人たち全てが自分を支えてくれている。

 大会準備・運営スタッフの皆さん、スポンサーの皆さん、ファンの皆さん、チームメイトやコーチ・トレーナー、家族。だから、気持ちはひとりではない。

 どんな場所で試合をするにも、応援してくれている皆さんの顔が脳裏に浮かび、背中を後押ししてくれていることに気づいたのだ。

 だからこそ、常にポジティブに、観客を味方にできるボクサーになりたい。

(平安山裕子、OPBF東洋バンタム級女王)