<南風>100年後もどこかで


社会
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 ココロの中で生まれた感情が言葉になり、声や音に変わり、そしてメロディとなって世界やココロに溶けてゆく。それが「音楽」。音楽は時も距離も越えて人を繋(つな)いでいきます。

 沖縄を代表する名曲の一つである「てぃんさぐぬ花」は作者不明になるほど長い間歌い継がれてきました。ホウセンカの花で爪を染めるように、親が言う教えを心に染めなさい。宝玉(宝石)でも磨かなければ錆(さ)びてしまう、心も朝夕いつも磨きなさい。子供のころは意味も分からず歌っていましたが21歳になった今、親元を離れて生活するなかで、ふと歌詞を思い出してジーンと胸に染みることがあります。どれだけ時代や環境が変わっても、人間が生きていく上で、人間として忘れてはいけない大事なことがあるということを再確認させてくれる歌詞が人々の胸を打ってきた証拠なのではないかと思います。

 歌詞はウチナーグチで若い人には馴染(なじ)みがないのですが、みんな1番だけでも口ずさめたり、メロディを知っていたりします。普遍的で誰もが共感することを歌っているからこそ今日まで残っているんだろうと思います。

 また日本全体で言うと「上を向いて歩こう」別名「SUKIYAKI」は日本以外にも世界各国のチャートで1位を獲得しています。この曲は坂本九さんの日本語歌唱のままで国も言葉も空も越えて世界の人々の心に響いた曲。今でも多くのアーティストがカバーをして歌い継いでいます。たった1曲がこんなに広い世界を駆け巡り人々の心を繋げているんだなと思うと、音楽のパワーというのを感じます。

 シンガーソングライターとしても、人間としてもまだまだ未熟な私ですが、自分らしく音楽を続けて、100年後も誰かが私の歌を口ずさんでくれるといいなと思います。

(Anly シンガーソングライター)