<南風>座右の銘


社会
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 今年は、何度台風が沖縄に上陸しただろう。先日も大型の台風24号が猛威を振るった。我が家は海に近いこともあり、他地域よりも強いなと感じていた。しばらくして台風の目に入り、今のうちにとコンビニにかけ込み、食料を調達した。ありがたいことに停電もせず、吹き返しの風の音を感じながら、家の中で過ごした。すごく長い時間であったように感じた。

 次の朝、ベランダの後片付けを早めに済ませ、那覇市内の実家へと向かおうとした瞬間、衝撃的なことが起きていた。あるべき場所に車がない。数メートル先に横転している車が2台。その勢いでフェンスが壊れ、バンパーが吹っ飛んだ車。それが我が妻の車であり、横転してる2台のうちの1台が私の愛車であった。

 自然の恐ろしさを初めて思い知らされた。

 ポジティブな私でさえ、心がへし折られました。何ゆえ我が家だけ…悲しさと虚(むな)しさが一気に襲った。しばらく意気消沈していたと思います。ふと、一つのことわざが思い浮かんだ。「人間万事塞翁(さいおう)が馬」である。この言葉を今の私に置き換える。これから幸いが来ると信じて。

 テレビではノーベル賞受賞の本庶佑氏の話題で盛り上がっている。オプジーボという薬、がんに効果が認められたという。本庶氏は「元気になれたのは貴方(あなた)のおかげ」と言われると何よりうれしい。これまでの人生については「幸運な人生を歩んできたと思う。こういう人生を二度やりたいと思うくらい、充実していた」。これまでに大きな壁はいくつもあった。

 1回2回の失敗でめげていたらだめ。失敗は当たり前で、物事に不可能はない。強い意志と志を持てば必ず道ができ、夢は実現できるとの思いで努力を積み重ねた。先生の座右の銘は「有志竟成(きょうせい)」。なるほどと。納得させられました。
(砂川正美、夢サポーター)