イチハナリとは、一番離れている、という意味だが、その名が付いたアートプロジェクトがある。それは、うるま市観光物産協会主催の「イチハナリ・アート・プロジェクト+3」だ。私は去年、一昨年と連続で参加した。
2012年当初は伊計島だけが会場だったが、15年からは平安座、浜比嘉、宮城の3島でも開催されるようになった。そして名前も「+3」となった。
この事業の目的は「アートによる島おこし」で、集客、経済効果は抜群だ。その評価も高く、去年は「第3回ジャパン・ツーリズム・アワード『国内・訪日領域』地域部門賞」を受賞している。
展示をする場所だが、四つの島の空き家や空き地の中から、アーティストそれぞれの個性や展示の規模にあった場所をコーディネーターが紹介してくれる。
私は、一昨年は浜比嘉島の空き家を、去年は廃校になった宮城島の宮城中学校をお借りした。
浜比嘉島での展示とワークショップだが、母屋の一番座に繋(つな)がる奥行のある廊下と縁側を展示スペースに決めた。前庭には日よけのテントを張り、お客様をお迎えすることにした。
ところが、この会場づくりが大変だった。広い屋敷は草が伸び放題で、洗濯機や冷蔵庫などの家電や粗大ごみが庭に放置されたままだった。結局、事務局から派遣された人たちが、軽トラック4台分になったごみを片付けてくれた。
私は、これらは誰かが不法投棄したものだと思っていたが、そうではなかった。何かの理由で処分手続きを取れなかった家主が、屋敷内に置いていたのだそうだ。主催者側はそういうことも全て想定内らしく、あるスタッフは「島を綺(き)麗(れい)にするお掃除プロジェクトでもあるんですよ」と話してくれた。
(この話題は次回に続く)
(新川美千代、切り紙作家)