<南風>沖縄から世界へ


社会
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 「沖縄から世界へ」。今ではさまざまな場面でこのスローガンを見かける。文字通り、沖縄から世界へ羽ばたくことを目標とする言葉で、沖縄生まれの物、事、人が世界で活躍することをイメージしている。

 沖縄はかつて「ボクシング王国」と呼ばれた時代があり、1976年から92年までの16年間で7人もの世界チャンピオンが誕生している。1970年代後半の沖縄は、本土復帰して間もない頃で離島ハンディもあり、一流アスリートを目指すには、決して恵まれた環境とは言えなかった。それでも、世界チャンピオンを数多く生み出した沖縄。チャンピオンたちに共通しているのは、離島のハンディに負けない強い精神力だと思う。

 平仲会長が現役時代からこだわっていた「沖縄から世界へ」という言葉。平仲会長にとっては「沖縄の地から世界へ」といったほうがより正確かもしれない。数多くの世界チャンピオンの中で、ただ一人沖縄のジムから世界を獲った平仲会長。「やればできる」という信念は、平仲ボクシングスクールジムのプロボクサーたちに受け継がれている。私自身のボクシングに対する姿勢、あきらめない精神は、平仲ジムで育てられたものだ。

 そして今、会長はプロモーターとして「沖縄から世界へ」を再び実現しようとしている。試合のチャンスの少なさを克服するために興行数を増やし、タイトルマッチの地元開催を実現した。試合のチャンスが増えたことで目標ができ、選手が増え、実力の向上につながっている。「試合に出る」ということは一人ではできない。本当に多くの方々に支えられている。だからこそ、先輩たちの強い精神力を受け継ぎ、平仲会長の掲げる「沖縄から世界へ」を再び実現するため、感謝を忘れず、常に進化した自分をリングの上で表現したい。
(平安山裕子、OPBF東洋バンタム級女王)