<南風>私の原体験


社会
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 私は5年前に沖縄に来るまで、兵庫県神戸市で暮らしていた。

 今、教育や人材育成に関する仕事をしているが原体験は私の中学時代にあるのかもしれない。振り返ると、学校での嫌な思い出が数多く出てくる。自立しようとしない友達、自立させてくれない教師。周りの環境が嫌だった。高校進学のために内申点を必死で取り、美術(芸術)の授業まで点数化され、いい高校(偏差値の高い高校)に進学することが全てだったように思う。

 授業では「できない友達に教えてあげましょう」と言われ、できる生徒が自分の力を伸ばすことができないルールがあり、授業中違うことをしていれば怒られる、そのような無意味なルールに縛られていた。その中でも私を信じて自由にさせてくれた当時の理科の先生、部活の顧問、塾の先生には感謝している。「もっと自由になりたい。もっと認められたい」という気持ちで毎日を過ごしていた中で、彼らは私を認め、信じてくれていた。そのことで私は随分救われたと思う。

 「もっと自分の視野が広ければ」「自分にもメンターという存在がいたら」、こういった「たら」「れば」がたくさん出てくるのだが、言っているだけでは前には進めない。私はRyukyufrogsを通して、言うだけではなく行動することがとても大事だということを学んだ。このような体験をしたからこそ私は子どもたちに働き掛けていきたい。

 私が中学生時代に思っていたモヤモヤを抱えている子どもたちに手を差し伸べたい。不平不満を言うだけではなく、行動に移して、未来の子どもたちに繰り返させないよう今の状況を変えていく。何かを変えることは大変なことだ。私一人でできることではない。子どもの教育をみんなで考えることでより明るい未来が創れるのではないだろうか。
(畑中ひらり、株式会社FROGS取締役)