<南風>カナダでの生活と働き方


社会
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 カナダ研修でとても良かったことはホームステイを通して家庭生活も味わえたことでした。カナダの人々は家庭を大事にし生活スタイルにもゆとりが感じられました。それには教員の就業時間がしっかりと8時間で終わることが密接に関連していると思います。

 現地の日系企業で働く人々の就労も8時間が守られていました。日本においても就業時間は基本的に8時間です。しかしながら、どの職場においても多少の残業が常にあるのが現状ではないでしょうか。

 今、日本においては「働き方改革」が進められています。議論のスタート時点から「残業ありき」で疑問に思います。

 数学者で大道芸人でもあるピーター・フランクルが世界中を訪れた経験を通して、著書の中でこう述べています「日本人は世界一よく働くのに、決して世界一よい暮らしをしているわけではない。真面目に働きながらも、もう少し自分の暮らしを見つめるべきだ」。1日は24時間。8時間は睡眠、8時間は仕事。これからの時代は、残りの8時間での暮らしの充実がより大切になると思います。そのためには社会全体で、実のある働き方改革を進め、効率的な働き方で一人一人のQOLの向上が増せばと思います。ゆとりあるカナダでの生活の中で、バーロウクリーク小学校での私の指導教諭となったリザン先生は、学校教育の他にも様々な体験を用意してくれました。

 私が高校大学とバドミントン部であったと知ると彼女自身がカナダチャンピオンとのことで地域のサークルへと誘われたり、休日には積雪ある山々でのトレッキングや美しい湖でのカヌーでの散策を楽しみました。わずか2カ月間の滞在でしたが、カナダの人々や自然との触れ合いは私の生き方に大きな示唆を与え、視野を世界へと広げるきっかけとなりました。
(西永浩士 名護特別支援学校長、県特別支援学校体育連盟会長