<南風>プロ野球公式戦沖縄開催


社会
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 プロ野球は日本シリーズ開幕目前。キャンプ地が沖縄市の広島カープと、投打の柱が沖縄県出身の西武ライオンズ。リーグ優勝の両者の対戦となれば、県内が沸くこと間違いなしです。ただプレーオフでようやくテレビ中継が本格化というのは、昔を知るファンとしては寂しい限りです。プロ野球人気をさらに高めるには何が必要なのか、いろいろ考えさせられます。

 先日、思わずうなずいたのが、往年の名選手、権藤博さんが書かれた新聞コラム。最近の試合後の選手インタビューは「ファンのおかげです」といった紋切り型で技術論にも触れず、つまらなくなったという指摘でした。確かに今季もすぐに思い浮かぶような名台詞(せりふ)はありません。

 一方、大リーグは選手の発言も重要なファンサービスという意識が浸透しています。現場で聴いて感動を覚えたのは、引退したジーター選手が永久欠番の式典で行ったあいさつ。ヤンキース愛を格調高く訴える、政治家顔負けのスピーチでした。

 大リーグでもう一つ感心させられるのは、公式サイトの充実ぶり。両リーグの全30球団が同じフォーマットなので、どのチームでも試合日程や選手の成績がすぐに分かり、使い勝手の良さは抜群です。個性重視と思われがちな米国でも球界全体の利益を考え、統一感を打ち出していることは参考にすべきです。

 そして何より望みたいのは、本拠地以外での公式戦をもっと増やすこと。沖縄で年間2試合は少なすぎます。オープン戦もいいですが、観客が沸くのはやはりペナントのかかった真剣勝負。復帰前の沖縄でプロ野球の公式戦が行われていたことは、今考えれば驚くべき話です。当時の英断に比べれば、地方開催の倍増くらいたやすいことと思ってしまうのですが、素人考えなのでしょうね、きっと。

(傍田賢治、NHK沖縄放送局局長)