<南風>良きライバルの存在


社会
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 私は母校のバレーボール部員によく話すことがあります。「チーム内でも常にライバル意識を持つこと。お互い良いライバルになる」ということです。ただ「仲良しな」だけではなく、競い合いながらも互いに高め合える存在になることが大切である。私は自身の経験から、そう伝えています。

 3歳下の弟は常に、私のライバルでした。一年早くバレーボールを始めた私は、特に目標もなく「楽しくできれば良い」と思っていました。しかし、同じチームに入部した弟がどんどん上達するのを見て、次第に対抗心が芽生えました。

 日常生活でも競えることは全て弟と競い、負けるたびに「次は負けない」と、努力しました。それは私だけでなく、弟も同じだったと思います。私は小学生の時に一度だけ彼が私に負け、悔しくて泣いている姿を目にしたことがあります。私たちは互いにライバル視をして成長してきたのです。弟に負けて、悔しくて泣く日もありました。なんでも簡単にやってのけ、バレーボールで次々に成績を残していく弟に嫉妬し、卑屈になることもありました。

 左膝の靭帯(じんたい)を断裂した時、私は選手としての限界を感じ、バレーボールを諦めようと思っていました。そんな時に「一緒に頑張ろう、まだできるよ」と励ましてくれたのは弟でした。

 「ライバルと敵は違う」。私はその通りだと心から思います。ライバルとは、決して戦うだけの相手ではない。時には支え合い、時には競争し、そして常に高め合える存在をライバルと言うのだと思います。

 幼い時から私のライバルであり続けてくれた弟に私は今、感謝しています。今も選手として第一線で活躍している弟を誇りに思いますし、世界で戦う彼の姿を見て、私も頑張ろうと思えています。今でも、お互いに高め合える存在がいることを幸せに思います。

(仲本百合香、ミス・スプラナショナル2018日本代表)