<南風>「書くこと」の魅力


社会
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 「私、手紙を書くことが好きなんです」と話すと、よく驚かれます。現代はIT化が進み、さまざまな分野でアナログからデジタルに変わっています。携帯電話で遠くにいる人とすぐ話せたり、ネットでいつでも繋(つな)がることができる。そんな時代の代表世代とも言える20代の私が、手紙を書くということ自体がきっと驚きなのでしょう。

 IT産業の発達により、私たちの生活はとても豊かになりました。さまざまな情報をリアルタイムで手に入れることができる。県外、海外も近くに感じることができ、視野も広がります。手紙で2、3日かかるメッセージもたった1分で送ることができ、とても便利な世の中になりました。

 しかし、私はそんな利便性にも引けをとらないくらい、手紙に魅力を感じます。幼い頃から母と「手紙交換」をしたり「交換ノート」をしていたこともあり、私は書くことが大好きでした。小学生の頃、学校の友達と手紙交換をして楽しんだのを覚えています。「この便箋は誰に向いているかな」「季節に合わせたはがきにしようかな」と便箋やはがき選びから楽しんでいました。

 手紙の良さは書く前から、相手のことを思って便箋やはがきを選ぶ、相手に合わせて筆記用具や文字を変えるという点にあります。そんな手紙は、受け取った側にも送り手の気持ちがしっかりと届くように思います。効率化されて、簡単にメッセージを送ることができるメールやSNSはとても便利です。しかし、手紙のように送る人のぬくもりは感じにくいように思います。そう考えると、少し寂しい気もします。

 技術の進化で、便利になり、私たちの生活はとても豊かになりました。しかし、昔からある物の魅力も忘れずに生きていきたい。私も、今までお世話になった人に、久しぶりに手紙を書いてみたいと思います。
(仲本百合香、ミス・スプラナショナル 2018日本代表)