<南風>泡盛ロマン


社会
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 友人から、家庭用のミニ樽(たる)で寝かせたという泡盛を飲ませてもらった。琥(こ)珀(はく)色でまろやかな味わい。泡盛が苦手だった彼女だが、「おいしい! 私にも飲める」とうれしそう。泡盛ファンを増やそうと、いろいろな泡盛が生まれ、楽しい飲み方が提案されるなか、オリジナル泡盛づくりは彼女にぴったりだったようだ。

 11月は「泡盛月間」だった。私もあるイベントに参加し、「きいやま商店」の泡盛応援ソング「盛り泡ろう!」を生で聴くことができた。46酒造所名とその代表銘柄を紹介する曲だ。酒造所の皆さんも自慢の一升瓶を手に軽快なダンスを舞台で披露。参加者も一緒に盛り上がった。

 一方、関係者あいさつでは、泡盛業界の厳しい状況に触れた方もいた。『月刊琉球』に「宮古IN」を連載なさっている、しもじけいこさん(ライター)の11月号のタイトルも「宮古島から、泡盛酒造所がひとつなくなった…」だった。千代泉酒造所が、後継者不在のために残念ながら廃業に追い込まれてしまったのだ。

 数多くの泡盛酒造所を取材しているしもじさんによると、酒造所には小規模な家族経営が多く後継者問題が深刻だそうだ。泡盛は、地域の繁栄や豊作を祈る祭祀(さいし)にも重要な役割を果たしており、島では酒造所の役割が大きいとのこと。「地域の酒造所は地域でしっかり守りたいものです」とリポートは結ばれている。

 『週刊レキオ』の古酒の日特集号でも取り上げられていたが、「仕次ぎ」が注目されている。私も、島袋正敏さん(名護博物館初代館長)の講演で、仕次ぎをベースにした「すべての家庭の床の間にクースガーミ(古酒甕)を」という活動を知った。沖縄戦で失われてしまった古酒を文化復元すべく、各家庭で参加できるロマンある取り組みだと思う。ぜひチャレンジしてみたい。
(照屋みどり、しまんちゅスクール代表)