<南風>朝起きれない人のために


社会
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 年の瀬も迫り、朝起きるのが辛(つら)い季節になってきた。寒いと布団から出られなくなるが人間は深部体温が下がると眠くなり、上がれば覚醒しやすくなる。そのため冬は起床時刻の30分前から暖房で部屋の室温を上げておくことをお勧めする。目覚まし時計をセットしても二度寝してしまう場合はテレビやラジオも利用すれば気になるニュースで目が覚めることもある。また寝る前にあらかじめ決めた時刻に起きるように意識して眠ることを「自己覚醒」というが、これが起床困難を軽減すると報告した論文もある。

 一番大事なのは夜更かしを避けることだが寝つきが悪い場合は睡眠リズムも見直したい。睡眠は「量(長さ)」と「質」だけではなく「リズム」も重要だ。人間の細胞や臓器には体内時計を刻む約25時間周期のリズムが存在している。このリズムは光刺激を含めた外的要因で太陽の周期と同じ24時間に調整される。不規則な生活でこの調整が乱れて睡眠相が後退すると入眠困難と起床困難が生じる。

 それを改善するには光の浴び方と活動のリズムを太陽の周期に合わせることが重要だ。朝日は浴びた方がいいが夜の光はブルーライトも含めて避けた方がいい。昼夜のメリハリも大事で起床時間を固定化しつつ日中は活動性を高めて夜は逆に頑張りすぎないようにしたい。また胃腸のリズムも睡眠リズムと連動しているため朝食の習慣も朝の目覚めには効果的だ。

 実は私も子供の頃は宵っ張りの朝寝坊だった。「祖母が死んだ」などと明らかにうそとわかる連日の遅刻の言い訳を担任の先生は笑って聞き逃してくれた。ある日ついに言い訳のネタが尽きた。さすがに祖母を2回も殺すわけにはいかず、「朝起きれませんでした」と正直に話したら先生にぶん殴られた。思い返せばこれが一番目が覚めた。
(普天間国博、嬉野が丘サマリヤ人病院 睡眠専門医・医学博士)