<南風>手紙


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 拝啓 師走に入り寒さも本格的になりました。東京の空にもオリオン座が輝いております。「南風」をいつも読んでくださる皆さまが風邪など引かれぬようにと願っております。さて最近皆さんは手書きの「お手紙」を書いたり、頂いたりする機会はありましたか。

 私は音楽活動を始めて手紙を頂いたり、書いたりする回数が増えました。「試験勉強の時に『太陽に笑え』を聴いて頑張れました」「家族で聴いています」。中には覚えたてのかわいい字と絵が添えられた手紙が届くこともあります。字がとても奇麗だったり、まるで小説のような文章力で何枚もあるのにグングンと読める手紙もありました。どれも温かい文字で、書き直した跡があったりと愛を感じ涙することもありました。携帯ですぐに連絡が取れる便利な時代に、時間を費やして私へメッセージを送ってくれたことは特別でいとおしく感じます。

 私も手紙をアルバムリリース前に書きました。お世話になっている方にCDに添える手紙を一枚一枚書きました。便箋の色やデザインを選んで、この人にはこの曲を聴いてほしい、あの時作っていた曲をついに「収録しました」など、思い出を掘り起こしながら書いていましたが、とても大変でした。字が気に入らなかったり、言い回しがおかしいと書き直し。こんな風に私に届く手紙も大事に書かれているんだなと思うとうれしかったです。

 今年、人生で初めて点字のお手紙を頂きました。私も点字キットを買い、何度も失敗しながら返事を打ちました。受け取ってくれた友達はとても喜んでくれました。

 「手紙」は尊い時間が詰まっているすてきな贈り物。年賀状の季節、あなたの手で1、2行言葉を添えるだけでももらった相手はうれしいはず。大事な人へ手紙を書いてみませんか。
(Anly、シンガーソングライター)