<南風>恋すること


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 LGBTという言葉をよく聞く時代。レズビアン(女性同性愛者)、ゲイ(男性同性愛者)バイセクシャル(両性愛者)、トランスジェンダーの頭文字を組み合わせた言語です。全国各地で「性の多様性」への理解を深めるイベントやパレードが開催され、私も渋谷のレインボーパレードを偶然見かけました。シンボルである虹色の旗を持ち、当事者やサポートする人々がとても楽しそうに歩いていて「やっと日本も世界に追いついてきた」と誇らしくなりました。

 2018年はミスユニバースの参加者にトランスジェンダーの女性が出場したことや映画「ボヘミアン・ラプソディ」が公開されてさらにLGBTという言葉に触れる機会が多かった年でした。

 那覇市では「パートナーシップ制度」が16年から始まり、那覇市民か市内への転入を予定している人を対象にした制度。同性カップルとして登録し事実証明書を受け取ると携帯電話契約での家族割りや、保険の受取人指定の証明に利用することが可能になります。性転換をしなければ結婚することができない日本で、かなり一歩を踏み出せた制度だと思います。LGBTへの理解が深まり、当たり前に少しずつ近づいてきましたが、まだ人々が交わす会話の中での偏見や差別は消えません。

 「あの人はゲイらしい」「女の人が好きらしいから気をつけて」と話のネタにして笑っている人を見て私は同じ空間で笑うのがつらく感じました。テレビなどでも「オカマいじり」に違和感を感じます。心と身体が一致せず悩んでいる人はたくさんいます。人に恋すること、人を愛することは自由で、恋愛は男女だけではありません。

 カミングアウトしやすい環境を社会全体でつくっていけば、もっと愛のある世界になると思います。
(Anly、シンガーソングライター)