<南風>息子の儀式


社会
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 はじめまして。半年間お付き合いいただきます、糸数未希と申します。人気ラジオパーソナリティーの方と漢字は違いますが同じ名前です。年齢も彼女より一回り上なので、時々、初代と名乗ったりします。私は会社勤めをしておりますが、それ以外に地域で三つほど子どもたちに関わる活動をしています。自分の子育て、地域活動、興味・関心のあることを、思うまま、感じるままにお伝えしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

 さて、新年が明けましたがみなさまの中にはこの時期に古いものを新しいものに買い換える方もいらっしゃるでしょうか。わが家では、特に衣類に関して買い換える際のルールがあります。とは言っても、大したことではないのですが、「ありがとバイバイ」と言って、古い衣類にありがとう、と感謝してから手放します。

 特に小学校高学年の息子は、成長期ということもあり、この前買ったばかりだと思っていた靴下や靴に、穴が開き、さらに履き続けてボロボロとなり、あっという間に「ありがとバイバイ」になります。ある時、息子の靴を買い換えて、新しい靴を彼に渡したところ、「ちょっと待って。」と言って、なにやらゴソゴソと古い靴を持ってきました。

 私はいつものように、古い靴に「ありがとバイバイ」をするのだと見ていましたが、そうではなかったのです。彼は、古い靴と新しい靴をそれぞれ右手と左手に持ち、それからそのかかと同士をトンと合わせて、まるでバトンタッチのようにするではありませんか。

 「おぉー。おぬしは新しい儀式を始めたのか」と親ばかながら感心してしまいました。古いものから新しいものへ。ありがとう、と手放すことは、古いものがそこで終わるのではなく、バトンタッチをしてつながっていくことなのかもしれません。

(糸数未希、にじのはしファンド代表)