<南風>「浦添ふしぎ発見」


社会
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 1994年8月から、翌年3月まで、90回にわたり琉球新報で連載された「うちなぁ湧き水紀行」。記事と連動し、始まったのがラジオ沖縄制作の番組「多良川うちなぁ湧き水紀行」。初代パーソナリティーは、ごやかずえさん。私は2代目として10年間、この番組を担当させていただいた。二人合わせて15年間、約600カ所の湧き水を取材した。

 2016年に実施した環境省「湧水に係る状況調査」によると沖縄県の湧水把握件数は1236カ所。私たちが取材した湧き水は約半数ということになる。番組終了後も、貴重な湧き水に関する情報の収集と発信をなんらかの形で続けていきたいと考え、10年ほど前に結成したのが「湧き水fun倶楽部」である。

 一昨年前にボーダーインクより出版した「おきなわ湧き水紀行 散策・樋川(ひーじゃ―)と井戸(カー)」にいくつか情報をまとめた。その本に書いた浦添市の「仲間樋川」について、先日、『世界ふしぎ発見!』の関係者の方から連絡があり、一度、現場を見せてほしいということから、なんと番組で紹介されることになったのである。

 ロケ当日、ミステリーハんンターの竹内海南江さんを前に、仲間樋川に刻まれた「十字」について、昔の人たちがどれだけ水を大切に使っていたか、そして、ここは沖縄戦で多くの人が犠牲になったこと、戦後はこの水のお陰で復興したこと、この場所は今でも多くの人が訪れ、歴史や文化、自然や環境、防災、平和について多くの情報を発信できる私たちにとってとても重要な湧き水であるということを無我夢中でお話しさせていただいた。

 番組は2月9日午後9時からTBSで放送予定。私は湧き水の謎をうまく伝えられたのか心配もあるが、浦添のふしぎがどのように紹介されるのか、放送を今から楽しみにしている。

(ぐしともこ、湧き水fun倶楽部代表)