<南風>「NO」という希望


社会
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 私は、辺野古新基地建設に反対だ。そして、ハンガーストライキで県民投票の大切さを訴えた、元山仁士郎さんの勇気と行動に感謝している。でも正直に言うと、最初に県民投票について聞いた時は、「きっとまた何も変わらないのに、投票して何になるの? 意味あるの?」と心の中で思っていた。そんな時、ある経験を思い出した。

 2009年11月8日、「辺野古への新基地建設と県内移設に反対する県民大会」が開催され、それに合わせて私は新基地建設を止めたくて、みんなの声を届けようというプロジェクトを立ち上げた。そして約400人の賛同を得て、それぞれのメッセージを15センチ四方の布に書いてもらい、パッチワークのように縫い合わせた、縦150センチ、横8メートルの大きな旗を作り、大会当日に会場外に掲げた。その旗には、当日会場に参加できない方からのメッセージも多くあり、共に気持ちを伝えることができた。

 あれから9年がたち、先日の新聞に載っていた航空写真には、青いはずの辺野古の海が、黄色い土砂に埋め尽くされていて、想像以上にひどくて、ショックだった。心の中で辺野古の海と生き物たちに、ごめんねと謝っても元には戻らない。当時も今も、変わらない現実。だからこそ、悲観し、仕方がないで終わらずに、現実が変わるまで行動し続けること、沖縄からしっかりと何度でも「NO」と伝え続けること、それが私のできること。辺野古が他人事のような日常生活を送っている私でも、県民投票があるおかげで、「NO」と意思表示ができる。これからもありとあらゆる機会を利用して、積極的に意思表示をしていこう。県民投票に参加しよう。そして私は、NOと言い続ける。

 ガンジーは「善きことは、カタツムリの速度で動く」と言った。その言葉を信じて。
(糸数未希、にじのはしファンド代表)