<南風>上達に近道なし


社会
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 昨年は本庶佑さんのノーベル医学生理学賞受賞で沸いたが、未来のノーベル賞候補と世界から注目を集めている北谷町出身の玉城絵美さんは、「ポゼストハンド」なるものを世に出した。これを装着したAさんが手を動かすと、離れているところでBさんの手がそのとおりに動くという画期的な発明である。

 玉城さんの講演を初めて聴講した際、よからぬ妄想がよぎった。前号の三線ネタを引っ張る内容となるが、いよいよ民謡大会が迫ってくる中、行き詰まりを感じていた時期であった。「これは使える!」舞台の袖でこっそり名人に弾いてもらい、神技並みのバチさばきになった自分は唄に専念しよう。名人には、弊社OBに人間国宝もいれば、県立芸大の学長もいる。改めて沖縄の人脈の豊かさに感嘆した。半ば現実逃避も甚だしい状況であるが、冗談を周囲に言い放ち、自分をリラックスさせたかったのである。それにしても、今は練習する時にはタブレットやスマホが大活躍である。良いお手本がネットで山ほどアップされている。練習を自撮りして、チェックしては直していく。ワンクリックで過去の動画を再生でき、成長ぶりなども仲間と談笑しながら楽しめる。フィギュアスケートのザギトワ選手もスマホでフォームをチェックしていた。ただ、失敗したシーンは見ないと語っていた。悪いフォームを覚えてしまうからという理由であった。

 そういえば、ゴルフでダフる、トップするかもと、失敗する姿ばかりが浮かびスイングしている自分が情けなくなる。弊社の試作品にAIやAR技術を使って、自分のスイングを3Dデータ化し、いろんな角度からリアルタイムに、フォームチェックができるというものがある。残念ながら、まだ市販品ではない。「上達に近道なし」は当面続きそうだ。

(畔上修一、NTT西日本沖縄支店長)