<南風>地域の文化を大事に


社会
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 昨年、宮古島のパーントゥがユネスコ無形文化遺産に登録され世界に認知されたことをうれしく思います。来訪神パーントゥは島尻と野原で伝わり、それぞれの特徴があります。つる草と泥で身をまとい集落内の人々や新築の家に泥を塗る島尻のパーントゥは子どもの頃の強烈な記憶。泥を塗られることで厄払いになり福が訪れるので汚れてもいい服装で参加します。母の地元野原ではお面をつけパーントゥに扮(ふん)した男の子を先頭に女性が「ホーイホイ」と言いながら集落内を練り歩き厄払いをします。

 私が直接携わった宮古島の伝統行事は平良地区に伝わるシーシャガウガウ。獅子が口をパクパクしている様子を表現した言葉です。主役は小学生を中心に中学生までの子どもで、旧暦8月15日の満月の日暮れから夜にかけて行われます。夏のお年玉のようなもので自分たちの力で収入を得られる魔法の日。既に兄たちがシーシャガウガウで稼いでいる姿を見て、学校で自分たちもやろうという話になりシーシャを製作。手作りなので、それぞれの個性がでます。大人数だと分け前が減るので2~5人くらいのグループで市街地のお店や民家を回り「シーシャガウガウ」と言いながら獅子舞をしてその家の厄を払います。家主はお礼にシーシャの口の中に小銭やおやつ等を入れてあげるというシステム。元は男の子の行事だったようですが今は女の子も参加しています。何が一番楽しいかというと最後にみんなでお金を数える時です。あの喜びは大人になった今でも忘れられません。伝統行事には、それぞれの地域の思いが込められています。歌も祭り事の一つ。生まれ島の歌に誇りを持って大切に歌いつなぎたいと思います。イツーガミマイウマカマヌギョウジューツギイカディヨー。いつまでも地域の行事が受け継がれていきますように。
(HIRARA(ひらら)、宮古島出身歌手)