<南風>カーマニア


社会
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 「うちの子、カーマニアなんです!」。同僚Kさんの息子は中学生。車好きではない。誰が教えたわけでもないのに、カー(湧き水)の前を通ると、ごみがあれば拾い、手を合わせるという。

 宜野湾市の小学生I君は、自由研究で地域の湧き水を調べており、時々湧き水fun倶楽部に参加してくれる。「戦争当時の話も聞いてみては?」との助言に、湧き水のある洞窟で戦争中、地域の人々が命拾いをしたという話を報告してくれた。

 先日、母校の那覇市立開南小学校、地域交流プラザでガールスカウト沖縄連盟28団の幼稚園から小学6年生に水について話をしてほしいと頼まれた。今は都会の真ん中にあるけれど、ずっと前には近くに湧田ガーという湧き水があり、ウナギがいたこと、その水を飲んで当時の人たちは生活したことを伝えた。現在の「泉崎」の地名からも湧き水があったことがうかがえる。

 水道が日常にある子どもたちには、まず、今日、水を使った場面を思い出してもらい、私たちの生活に欠かせない水が使えなくなる可能性がある災害時を想定し、水道が敷かれていなかった頃に人々がどのような方法で水を求めたかをお話する。湧き水でたらいに洗濯物を入れて婦人が足で踏んで洗濯している写真や、水くみに使われた一斗缶の天秤(てんびん)棒、クバの葉で作られたひしゃくを持参し子どもたちに触れさせる。そして湧き水fun倶楽部作成の「おきなわの湧き水カルタ」で遊びながら身近にある湧き水を知ってもらう。

 災害時は飲み水だけではなく、消火や洗濯、衛生を保つための多くの水が必要になることを伝え、地域の湧き水に子どもたちも日頃から関心を持ってもらえたら防災・減災にも役立つのではないかと考える。次世代のカーマニアに脈々と湧き水のことを伝えるために日々奮闘中である。
(ぐしともこ、湧き水fun倶楽部代表)