<南風>ザンジバル


社会
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 タイトルを読んで、ピンと来た方はきっと、映画「ボヘミアン・ラプソディ」を見たに違いない。そう、ザンジバルはクイーンのボーカル、フレディ・マーキュリーが生まれた島だ。そこは、アフリカ東海岸のインド洋に浮かぶ島でタンザニア連合共和国に属するリゾート地。実は家族でその島に行ったことがある。まさかアフリカに行けるとは思ってもみなかったが、タンザニアに住んでいた友人家族をたずねて未知なるアフリカ大陸へ冒険の旅に出た。

 冬の関西空港からアムステルダム経由で夏のタンザニアへ。治安が悪いため、ふらふら街に出歩くことはしなかったが、車から見える細身にカラフルな衣装をまとったマサイ族の姿が、いかにもアフリカだった。到着3日目にザンジバルへ向かった。高速船で約2時間。外国なのに、なんとなく那覇から久米島フェリーに乗っている感覚に似ていた。現地での必須アイテムはミネラルウオーターと蚊よけ。蛇口の水は飲めず、口に含んでもおなかに雷が落ちる。またマラリア蚊は日没後から日の出までの間に活動するらしく、ホテルでも、夕方になる前に頭を布で覆ったムスリム女性が部屋に来て、蚊よけスプレーをまいている様子はエキゾチックだった。

 ザンジバルは人口の9割がイスラム教徒で、世界遺産の街並み「ストーン・タウン」はイスラム文化の影響を受けている。入り組んで迷路のようだが、治安は良く、ところどころにあるローカル屋台の食べ物をつまみながら、道に迷うのが楽しかった。スパイスツアーに参加し、さまざまな香辛料の実やフルーツを食べ、ガイドと一緒に家族みんなで「ジャンボ!」と歌ったことが忘れられない。今、娘は高校生、息子は春から中学生。最後の家族旅行だったかもしれないと思うと少し寂しい。
(糸数未希、にじのはしファンド代表)