<南風>アマクマヤマ学校


社会
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 私は学校以外で学ぶことが大好きです。ここでは学校以外の学び場を「ヤマ学校」、そこで知恵を授ける人のことを「先生」と呼ぶことにしましょう。ヤマ学校は、意外なところに現れますので、気をつけなければ見逃してしまいます。

 私の職場のデスク後方はヤマ学校多発地帯です。私はスーギキーのプロでもあるので、すぐにヤマ学校の出現に気がつきます。「はー? シーブンも分からんばー? おまけって意味さ」今日もウチナーグチの先生が現れました。先日は別の先生が登壇、ムーチーについて教えてくれていました。

 ヤマ学校では先生と生徒が入れ替わるのもいいところです。私の大好きなYお姉さんは、時々、近所のマチヤグヮーでユンタクしながらお姉さん方のもやしのヒゲ取りのお手伝いをするそうです。マチヤグヮーのお姉さん方は戦争体験者ですが、沖縄戦の背景や全体像については地域史の研究者であるYお姉さんが詳しいので、時々マチヤグヮーのお姉さん方に解説するそうです。一方で、マチヤグヮーのお姉さん方はYお姉さんにその地域のシマクトゥバを教えてくれるということでした。

 子どもたちもヤマ学校で良い先生になります。小学1年のめいは、学童の先生がルービックキューブの2面を同時にそろえることができないという話をしていたそうです。それを聞いて笑った私の妹(めいの母)に「どうして笑うの? 大人だってできないことがあるし、できなくてもいいんだよ」と諭したそうです。友人の子が怒っているイトコのお兄ちゃんに「深呼吸してごらん」と落ち着く方法をすすめたという話を聞いた時も感動しました。

 このようにヤマ学校はいたるところにあり、世界は良い先生であふれています。ぜひみなさんもヤマ学校の出現を見逃さないようにしてみてください。

(玉城福子、大学非常勤講師)