<南風>島人ぬ~多キャラ♪


社会
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 さすがに16年も芸人をやっていると、演じてきたキャラクターも様々なわけで…。ヒーロー番組では豚の仙人に扮(ふん)し、CMでは山下清もやった。チャップリンや儀間真常、歌のお兄さんにユタのお姉さん、改造人間、宇宙人、犬にカナブン、オニヒトデなど。冷凍庫の中のムーチー役なんて、もはや生物でもない。

 前回も書いたが、正月番組で自分の母親をモデルにした告別式のコントをやり、沖縄のおばちゃんあるあるネタを披露した。他にも、沖縄らしいキャラといえば、やはり「オバー」は欠かせない。沖縄のオバーをよく演じるが、ベースとなっているのは小学生の頃、仲の良かった友達のオバーである。「なじぇね~?」が口癖で、友達はそのオバーと2人で暮らしていた。よく家に遊びに行き、宿題をしたり、ファミコンをしたり。甘い甘いレモンティーをいつもご馳走(ちそう)になっていた。かわいがってくれたオバーを舞台で演じたい…その思いから僕の沖縄のオバーキャラというのは生まれたのであった。

 「あーっがいたんでぃ!」と宮古島のおじさんも演じるのだが、その元となる人物は、僕が大学時代を過ごした東京にある沖縄県人寮「南灯寮」にいた。そこに宮古島出身の先輩がおり、オトーリというやんちゃな呑(の)み方も親切丁寧に教えてくれた。ありがたい限りである。宮古島ロカビリー文化からなのか、派手なベルトのバックルが印象的で、そこから宮古島出身の仮面ライダー下地さんが誕生した。もちろん、必殺技はライダーローリング…つまりオトーリなのであった。

 僕の沖縄ネタのベースにはこういった沖縄人との出会いがあった。魅力的な沖縄の人物を描きたい。現代の人も過去の人も…。その思いはお笑いだけにとどまらず、ついには琉球の歴史劇の脚本を手掛けるようになった。
(上原圭太、漫才コンビ・プロパン7)