<南風>結婚できないってどういうこと?


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 手のひらにホクロがある人は結婚できません。つまり、婚姻届を提出しても受理されません。さらに、長年連れ添っても家族としては認められず、手術の同意書にサインができない場合がほとんどです。例えば、こんな社会だったら「はっさ、なんでよ?」と思うのではないでしょうか。

 もちろん実際にはホクロの有無は婚姻に影響しません。しかし戸籍が同性であるカップルが置かれている状況は、こんな感じです。残念ながら日本では同性同士で婚姻ができないのです。

 ここ数年、性的マイノリティーの存在は多くの人に知られるようになってきました。人権の視点から公で議論されるようになったのは大きな前進だと思います。

 那覇市では2015年に「レインボーなは宣言」を行い、誰もが生きやすい都市を目指すことが明言されました。浦添市は、これに続き17年に「レインボー都市うらそえ宣言」を発表しています。さらに、那覇市では16年にパートナーシップ登録制度を始めています。市営団地の申し込みの際に、同性カップルも婚姻と同等に扱うなど、できる限り障壁を取り除こうとしています。

 全国に目を移すと、11の自治体でパートナー制度が導入されています。なんと茨城県は県として導入を検討しているそうです。「LGBT宣言」を掲げていた玉城知事、クールなことは率先して行うのがロックンロール。ぜひ沖縄県での導入に期待しています。

 ただ自治体のパートナー制度は婚姻とは異なります。相続や税控除などでは力を発揮しません。人工授精で子どもを授かったり、特別養子縁組を望む同性カップルもいます。親子関係という観点からも制度の見直しが必要でしょう。2月14日に13組の同性カップルが婚姻できないことは違憲であるとして国を提訴しました。沖縄からも応援の声を届けていきましょう。
(玉城福子、大学非常勤講師)