<南風>ヨーロッパで沖縄ライブ


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 2010年秋、沖縄在住スイス人の映像作家ダニエル・ロペスが企画したイベント、琉球キャラバンに参加しました。フランス国境に接したスイスの古都ポラントリュイでは、ちょうどサン・マルタンという農繁期の終わりを祝い豚肉料理を食する伝統の祭りが開催されていて、その一角で沖縄のアートを紹介することになりました。旧市街地の通りではパレードが行われ、食べ物や特産品の屋台が並び、レストランでは豚肉のコース料理が用意されます。ヨーロッパでは沖縄と同じように「豚は鳴き声以外捨てるところがない」という考えがあるそうです。

 歌三線で沖縄音楽を披露すると、お返しにベサメ・ムーチョなどヨーロッパの名曲を歌ってくれたり、一緒にカチャーシーを踊ったりと、陽気で親切な町の人と交流を楽しみました。中世の面影が残る歴史ある美しい町並みを歩くとタイムスリップしたようで想像力が膨らみます。ダニエルは伊良部島を旅した時に祖母の住むアンダルシアによく似ていると感じたそうです。私もヨーロッパにどこか懐かしさを感じました。

 14年には南フランス・アビニョンで毎年夏に開かれる国際的な演劇祭に沖縄芸能団の一員として参加。沖縄伝統曲に西洋音楽を加えた歌舞劇「沖縄燦燦(さんさん)」の地謡を担当しました。約1カ月、町全体が舞台となり、国内外からパフォーマーが訪れ朝から晩まで様々な演目が披露されます。私たちの公演はオフで五つ星評価を獲得。城壁に囲まれた世界遺産の町で歌い、たくさんの刺激を受けました。

 温故知新のヨーロッパの旅。今後も音楽を通して世界を旅し、その土地と文化を肌で感じ出逢(であ)いから学んでいきたい。一度会えば皆家族。家族に会いに出かけましょう。ピトゥントゥバ
イヤーマインーナヤーディ。
ヤーディンカイイデョウガズゥ。メルシーボークー。
(HIRARA(ひらら)、宮古島出身歌手)