<南風>箸置きのすすめ


社会
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 「皆さまは箸置きをお使いですか」。テーブルコーディネートレッスンで生徒に質問すると、イエス、ノーは半々である。「ぜひ今日から箸置きをお使いくださいね」とおすすめしている。

 箸置きは食卓の上の名脇役。箸置きひとつで季節感が表現でき、箸置きひとつで食卓が華やかになる。衛生面でも、食卓にお箸をじか置きしないということは清潔であり、また一箸ごとにお箸を置き、しっかりかんでゆっくり食べることで消化を促進させ、栄養を取り込み、暴飲暴食を防いでくれる。小さいながらも大きな働きをしてくれる優れものだ。

 何より感じることは、箸置きひとつでお膳が引き締まり、そして食べ物をいただける感謝で、気持ちも引き締まる。

 毎日の食卓に取り入れていただきたい箸置きは、伝統的なものからスタイリッシュなものまでさまざまなデザインのものがあり、素材も陶器や磁器、木製、ガラス、ステンレスなどといろいろ。コレクションするにも場所を取らず、値段も手頃である。買わずとも、木の枝やサンゴなど自然のものをそのまま箸置きに使ったり、また紙で手づくりするのも遊び心があってすてきだと思う。

 バリエーションが豊富な箸置きは、料理に合わせて、季節に合わせて、気分に合わせて使い方は無限だ。例えば、桜のモチーフやピンクの箸置きは春を感じ、竹細工やガラスの涼やかな箸置きは夏を演出し、シーサーやゴーヤーの箸置きは沖縄料理が並ぶ食卓を温かく包んでくれる。

 箸置きの起源は聖徳太子の頃にさかのぼる。季節感や行事を大切にする日本人の和心を今に受け継いできた箸置きを、ぜひ毎日の食卓に登場させて楽しんではいかがだろうか。自称箸置きコレクターの私、300個超えのコレクションも日々増加中である。
(大木綾子、食空間コーディネーター)