<南風>嗤うマジムン


社会
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 科学では解明できない不可解な現象…これらはマジムンの仕業だと言われております。キジムナー、耳切坊主、仲西ヘーイ、片脚ピンザーなど。しかし、それ以外にも存在するのです…。

 皆さんは魚てんぷらを食べようとして、いざかんでみるとイカだったことありませんか。次こそ魚と思っても、またイカ。それで、作った母ちゃんを責めたりしませんでしたか。これは「てんぷらがえし」の仕業なのです。食べたい天ぷらの中身をすり替えてしまう…とても恐ろしいマジムン。インゲンとソーセージの天ぷら、あれおいしいですよね。

 時にソーセージがなくてインゲンとインゲンになっている場合がたまにありますね。あれもてんぷらがえしの仕業なのです。マジムンたちは、われわれの知らないところで悪さをし、困った姿を見てケラケラ嗤(わら)っています。

 道路拡張工事のため既に立ち退きが決まった屋敷に、なぜかクロキが増えていく不可解な現象。これは「たちぬきー」というマジムンの仕業。立ち退きしたくない家主の気持ちがこのマジムンを生んだのか。決して、国や県からより多くのお金を請求するために家主が植木屋に頼んだわけではありません。

 最後に紹介するのが「りゅうぶぬはんどー小」。伊江島はんどー小ならよく耳にしますが、こちらも恐ろしいマジムンです。地域にいましたよね? 小さい頃から琉球舞踊を習っていて、お祭りや結婚式で琉舞を披露する女の子。それが、突如中学に上がると髪も染め、眉毛もカットして、ヤンキーになってしまう恐ろしい現象。これこそ「りゅうぶぬはんどー小」の仕業。周囲の期待が厳しい琉舞の稽古につながり、その反動がマジムンとなって…。この島に潜むマジムンたちの存在をあなたは信じますか。聞こえてきますね…マジムンたちの嗤い声が…。
(上原圭太、漫才コンビ・プロパン7)