<南風>選手の自転車


社会
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 競輪選手がレースで使用する自転車はロードバイクとは違い、ブレーキや変速機が付いていないトラック競技用でギヤが固定されているピストバイクです。ブレーキが付いてないと言うとよく驚かれます。選手は自分で力を加減しながらスピードを調整したり車間を維持したりと乗りこなします。競輪場や自転車競技場を速く走るためにとてもシンプルにできています。ブレーキがないので公道で使用することはできません。

 自転車のフレームに使われる素材は鉄(クロムモリブデン鋼)などです。パイプの種類は競輪の公正安全のために基準が細かく決まっています。男子の自転車は完成車で7~8キロほど。女子の自転車は国際レースなどでも使用することのできるカーボン製で6~7キロと軽量です。選手はレース、練習と予備の自転車と最低3台は準備しています。競輪選手個人にフレーム会社がスポンサーとしてついてる人は少ないので、ほとんどの選手が自前で自転車をそろえます。自分専用の自転車を注文するときは競輪で使用できるフレームメーカーが30社ほどあるので、その中から選んで注文します。

 私の場合は体のサイズに合わせてフレームの寸法をメーカーの方や職人(フレームビルダー)と相談しながら決めるようにしています。自転車の剛性、乗り心地はフレームサイズやパイプの太さなどでバランスが変わるのでミリ単位で調整し、職人さんのアドバイスを参考にして注文します。私は年に1台ほど新フレームを頼みますが、選手によってはビッグレースの時や戦法でもフレームを変えたりするので年に4~5台作る人もいます。

 人馬一体という言葉がありますが、競輪選手は自転車という道具を使って勝負するので、体と自転車が一体となれるベストセッティングを模索しながら日々トレーニングしています。

(仲松勝太、プロ競輪選手)