<南風>指示待ち


社会
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 何を、どのようにすべきかを考え、行動することができない子どもが増えているようだ。上映中のドキュメンタリー映画『いのちのはじまり』に出てくる“遊びの研究者”レナータ・メイレレス氏によると、自分の気持ちを表現することを積んでおらず、内なる声に耳を傾けたことがない子どもが“指示待ち”になる傾向があると分析している。さらに、大人はその事実に向き合う必要があると。解決法のひとつは、子どもが自分自身になることを遊びの時間の中でつくりあげること。遊びとは自分らしくいることだそうだ。

 「指示待ち大人」もたくさんいます、とツッコミを入れている読者も多いでしょう。急に「はい、自由に遊んでよし」と言われても具体的に何を、どのようにすれば遊びになるのか分からない人も多いかもしれません。私は自営業なので、割と自由にできる時間の自由度は高い。

 しかし、子どもと過ごす時間を意識的に持たないと、仕事モードを切り替えきれず、子どもに寂しい思いをさせることもある。お金と仕事はもちろん大事。子どもの教育と成長も大事。他にもいろいろ大事なことがある。どのようにバランスを取るのかと考え続けるのだ。でも、答えはシンプルだ。一緒に過ごす時間を持つだけだ。公園に出掛けたり、図書館へ行ったり、映画館に行ったり、釣りへ行ったり。プライスレスな瞬間を持つことを無意識にできる大人でありたい。

 絵本や紙芝居の読み聞かせに尽力し、子どもたちの未来を託すことのできる社会を広めるよう活動してきた「くすぬち平和文化館」主宰の眞榮城栄子さんが先日亡くなった。大切な何かをいつもお裾分けしてくれる方でした。感謝の念に堪えません。生きる時間には限りがある。さあ、何をして遊ぼうか。
(宮島真一、カフェ映画館「シアタードーナツ」経営)